CECINA Collaboration

EXTRA FLAVOR - RARITY -

それはどちらも先の見えないはじまりでした。

”山ぶどうでワインを造りたい”
“のだ塩と岩手短角和牛で上質なセシーナを造りたい”

時を越え北緯40度の地で、生まれたふたつの決意は、
18ヶ月の熟成期間を経て出逢い、ひとつに。

「やませ」の風がもたらす厳しさが培う、
ここにしかない豊かさが響き合う。

『岩手短角和牛セシーナEXTRA FLAVOR -RARITY-』の
誕生です。

くずまきワイン「RARITY」

岩手県産の山ぶどうを100%使用し、1年の樽熟成を経て造られる『レアリティ』は1993年の発売以来、岩手くずまきワインのフラッグシップとして愛されています。酸味と渋みの絶妙なバランスと、濃い深紫色。葛巻町の寒暖差ある気候が育む、山ぶどうの野趣溢れる味わいとコクが特徴です。

SPECIAL INTERVIEW

『EXTRA FLAVOR - RARITY -』が生まれるまで

『EXTRA FLAVOR - RARITY -』
が生まれるまで

01

「山ぶどうでワインを造ろう」始まりは
今から40年以上前でした。

「山ぶどうでワインを造ろう」始まりは
今から40年以上前でした。

府金

くずまきワインさんは1986年の創業以来、山ぶどうを使ったワイン造りに一貫して取り組んでいることで知られています。葛巻町で山ぶどうを原料にしたワイン醸造が始まったのは、どんなきっかけからですか。

鳩岡

もともと葛巻町を含む岩手県北地域には山ぶどうが自生していて、滋養強壮や増血に効果があるということで、地域では貴重な栄養源として愛飲されてきました。その山ぶどうでワインを造り、町の新しい産業にしようと考えたのが、当時の高橋吟太郎町長でした。今から40年以上も前、1979年のことですから、ワインに馴染みのない人ばかりの時代ですよ。

最初の頃は酸味が強く味わいがアンバランスで、ワイナリーの運営は困難な状況でした。そこで、山ぶどう以外のぶどうで口当たりのいい白ワインを醸造したところ、味わいが評価され、徐々にワイナリー運営が軌道に乗り始めました。くずまきワインが今のようになるまでには、たくさんの苦労があったと聞いています。

長い時間と多くの努力を礎に実る山ぶどう

長い時間と多くの努力を
礎に実る山ぶどう

鳩岡

山ぶどうは、サクランボやキウイと同じで雄樹と雌樹があるんです。でも、山ぶどうを栽培しているところなど日本中どこにもなかったので、そんなことは誰も知らず、苗木を作って畑に植えていました。ところが、何年経っても実がならない。よくよく見たら、全部雄の木だったそうです。

府金

いま我々が見ている畑の風景は、生産者の方々の多大な努力があって、出来上がったものなのですね。

02

03

剪定、受粉、収穫。高品質の
山ぶどうを目指して。

剪定、受粉、収穫。高品質の
山ぶどうを目指して。

府金

山ぶどうは、一般的なぶどうと比べて栽培は難しいですか。

鳩岡

樹勢が強いので、木と木の間が狭いと枝同士が絡み合ってしまいます。一般的なぶどうは樹間がだいたい1mぐらいなんですが、山ぶどうは5~6mの間隔を空けるようにし、剪定にも気を使います。さらに、雄樹と雌樹があり自家受粉できないので、梵天を使い人の手で授粉させています。収穫も短期間で行わなければならないので、これも人手がかかります。

府金

高品質で糖度の高い山ぶどうを生産するために、手間ひまをかけているんですね。

岩手短角和牛セシーナと、山ぶどうワインRARITYの出逢い

岩手短角和牛セシーナと、
山ぶどうワインRARITYの出逢い

府金

「岩手短角和牛セシーナEXTRA FLAVOR -RARITY-」には、「山ぶどうワインRARITY」(レアリティ)を使わせていただいています。原料の短角牛にワインの絞りかすを練り込んだ牛脂を塗布し、RARITYを噴霧して作ったものです。実は、開発当初はワインの絞りかすだけを分けていただいていましたよね。

鳩岡

そうでした。絞りかすは主に堆肥にして畑に撒いています。たまにほしい方がいらっしゃり、その時は取りに来ていただいています。

府金

山ぶどうの絞りかすを使うというのは、私が目指すセシーナのコンセプトにも合致し、開発を進めていたのですが、味や香りが思うように反映しなかったんですよね。そこで、以前から自分が好きだったRARITYを噴霧したらどうかと思いつきました。

04

05

くずまきワインのフラッグシップ、
REARITY

くずまきワインのフラッグシップ、REARITY

鳩岡

RARITYは1993年に誕生したくずまきワインのフラッグシップで、原料に岩手県産山ぶどうを100%使用して1年間樽熟成させたワインです。

府金

RARITYならば、香りがいちばん出やすいのかなと思ったんです。

鳩岡

完成したセシーナを食べてみて、短角牛の旨味が素晴らしく、さらに山ぶどうのワインの風味も感じられて、今までにないようなセシーナに仕上がっていると感じました。

食とワイン。縄文時代からつながる
食文化のバトン

食とワイン。縄文時代から
つながる食文化のバトン

府金

在来種である山ぶどうを発酵させてワインにして飲むというのは、縄文時代からやっていたみたいですね。

鳩岡

三内丸山遺跡の出土品からも、縄文人がワイン造りをしていたであろう痕跡が見つかっています。

府金

このエリアの食文化は縄文時代から形成されていて、そう考えると山ぶどうというのはシンボリックですよね。江戸時代に入ってからは「塩の道」でのだ塩の話が出てきますし、米が取れない地域ということで雑穀や木の実、野草など独特な食文化も発展してきました。そのあたりをみんなで紐解きながら食とワインに絡めていくと、さらにレベルの高い話が出来るような気がします。

06

07

セシーナで広げる、岩手の食材との
新たなマリアージュ

セシーナで広げる、
岩手の食材との
新たなマリアージュ

ひらく
シェフ

日本は湿度が高いので、しっかり熟成させる、というのが難しい環境なんです。その中で、府金さんが試行錯誤を繰り返して出来上がったセシーナには、酒の麹や納豆のようなニュアンスを感じていました。噛みしめるとしっかりとしたコクもある。

さらにRARITYに漬けたことによって、フレッシュ感と自然な柔らかさが加わりましたね。

岩手にある素晴らしい食材とセシーナを組み合わせた料理を提案していきたいです。

ミネラルを育む「やませ」とともに。
北緯40度エリアの未来

ミネラルを育む「やませ」とともに。
北緯40度エリアの未来

鳩岡

そうですね。単発のイベントにとどまらず、将来的には酒と食の会として定番化させたいですね。

府金

やりたいですねぇ、酒と食の会。そこはぜひ、みんなを繋げて、縄文にも繋げてやっていけたらいいですね。岩手県北地域は食の文化があまり豊かでないと思っている人たちが多いかもしれませんが、「そうじゃないんだ」とね。この地域は海から吹く冷たい風「やませ」の影響を大きく受けますが、このやませがミネラルを運んでくると言われていて、素材の味をさらに高めてくれるのだと思っています。

鳩岡

ミネラルでいえば、のだ塩も旨味がありおいしいですよね。北緯40度の地域で歴史とか文化の勉強をしたら、府金さんのおっしゃる「やませ」の話のように、腑に落ちることがいっぱいありそうですね。「そうか、だからか」と。

府金

先人の方々がすごいものを残してくださり、今があるわけですから、それをていねいに発信していきたいですね。特に醸造の話というのは興味を持って耳を傾けてくださる方が多いですから。地元の食文化を皆さんで一緒に勉強し、情報交換をしていきながら、次に発展させていきたいです。そして、我々が子どもたちに楽しい背中を見せていれば、自然とその先へ続いていくと思います。

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